お仕事:One WorldとBetweens Passport Initiative
一般社団法人kuriyaの海老原さんよりお声がけいただき、7月から9月まで東京都立一橋高校の多言語交流部(One World)へ通いました。
一橋高校の定時制は外国籍の生徒さんも多く通っていて、One Worldは様々な言語を通して交流する部活です。部活なので基本的には生徒さんによって自主運営されていますが、年間を通してkuriya、大学、高校と三者連携で活動をバックアップしています。実施の背景には、そうした生徒さんたちは言葉の壁もあって中退したり、日本の中でつながりが希薄になり、それがひいては将来の生活や経済状況に影響することがあるそうです。部活を通した生徒さんたちの居場所づくりとエンパワメントを目的として、3年目の活動に入っていました。
私は当初7月の部活の記録係として学校へ入りました。日本の大学に留学している学生さん(こちらも多様な国から集結!)を高校生たちが招き、ゲームやお互いのことを紹介する活動を通して交流しました。水曜日と金曜日に行われている部活に3週間ほど通いましたが、高校生の時に家族や親戚以外の少し年上の人に出会えるということ自体、自分の高校生時代を思い出しても貴重な機会だなと思います。事実、活動が終わった後は親密に話している様子も見られました。フィリピンや中国、韓国など多様なバックグラウンドをもつ高校生たちにとって、日本に留学してきている大学生の話を聞くことは身近なモデルになるでしょう。奨学金のことやどのように勉強したか、どこで情報を得たかなど、大学生に聞いている場面もありました。日本人の高校生や大学生も参加していて、英語力を磨く機会にもなっていたようです。(その姿に反省させられる私でした・・・)
また「居場所」になるには、継続的にオープンな形で「ゆるさ」をもって存在することと、興味はあるけれどちょっと足が向かないなと思っているような人が訪れるきっかけをどのように作って行くかの2つがポイントになるのではないかと思います。そうした意味で、この後に書く9月に行ったワークショップはこの7月にお目にかからなかった子たちも、先生の呼びかけでたくさん参加していました。
そうこうしている間に、9月に東京ドイツ文化センター(ゲーテ・インスティトュート東京)の事業で滞在制作をしているアーティストが高校生とワークショップをしたいという話があったそうで、そちらのコーディネートも担当させていただくことになりました。授業か部活(One World)か2つの選択肢がありましたが、スケジュールの都合でOneWorldにて、「Betweens Passport Initiative」というkuriyaとアーツカウンシル東京との共同事業として実施するに至りました。
9月7日に1時間半ほどのプログラムとして、この日訪れたのはシリア人で現在はドイツへ亡命し、現在もドイツを拠点にしているアーティストのヒバ・アル=アンサーリーさん。「シリアの空」をテーマに、戦闘機の写真も見ながらシリア内戦の現状と、ヒバさんの作品の特徴である「同じ形態を大量に制作すること」、「手を動かしながら考えること」にも触れながら、水色の紙を使って大量の紙飛行機を作りました。
(↑右から2人目が、アーティストのヒバさん)
その後、外へ移動して2手に分かれて飛行機を飛ばし合いです。夜間部の授業に出る子もいて、途中抜けも多かったのですが、最後は見学に来ていた大人も含めて感想を共有しました。飛行機を飛ばすのが楽しかったということのほか、シリアの現状についての質問も多く出ました。シリアは歴史もあり、美しい街並で食べ物も美味しいとのことで、いつか訪れたいという感想もあり、私も深く同意したところです。
その場で起こっているゲーム性のある楽しい出来事と、積み重なり混沌とする紙飛行機がシリアの複雑な現状やヒバさん曰くシリア人の感情も表していて、そうしたギャップの二重写しが非常に印象深いワークショップでした。二手に別れる際に高校生と大人チームになんとなく分かれていたのも、深読みすると味わい深かったりして・・・?
(以上の写真2枚、Photo by : TARUMI Seiji)
▼kuriyaさんのFBより
以下は余談です。
アーティスト以外で一番の新参者かつ外国語ができるわけではない私がコーディネートで心がけたことは、短いご挨拶の時間しか取れないとしても対面でお話ししたり、できるだけ顔を出した方が良いなと思い、東京へ通うことでした。(しかも、今回はほぼ要件のセッティングはできていて、学校の先生もとても活動に理解があるので、ほぼコーディネートレスだったと言っても過言ではありません)
国際教育の学会でOne Worldについての発表を聞いたり、ゲーテ・インスティテュートのヒバさんのワークショップに参加したり。そうしたことをしながら、外国語できないしな・・・と、やや遠巻きにしていたけれども、私の中学〜高校の頃は周囲の環境もあって海外への憧れや興味はすごくたくさんあったなーと思い出したりしました。付け焼き刃ですがシリア情勢の本を読んで状況の複雑さに改めて唸ったり、偶然シリア料理を食べられる機会も重なったのでクラウドファンディング「シリア難民シェフに厨房を!」に参加して体験して来たりもしました。
↑とっても美味しかった!シリア料理のブッフェ。
また、One Worldで英語が飛び交うと言葉ではすぐに内容を私は理解できないので、現場を俯瞰している立場でいるはずが(実際はずっと俯瞰しっぱなしというよりも、出たり入っているのですが)マイノリティになる瞬間も多々あって、前後の文脈を読みながら感覚を総動員して表情を読み取ろうとしたり・・・そうした経験含めてとても貴重な3ヶ月でした。アートや料理を通してシリアの豊かさを感じることが、逆説的にシリアの現状を鑑みるとより心に重くのしかかって来ます。いつか平和になったシリアで体験する日が来ることを願うばかりです。
高校生やその周辺にいる関係者の方含めて、皆さん一人ひとり相手の立場を尊重している方々ばかりで幸せな現場でした。関係者の皆様に深く御礼申し上げます。
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